世界で初めて商用の自動運転トラックが公道での走行を認可される

アメリカのアリゾナ州とネバダ州の州境に位置するコロラド川・ブラック峡谷にあるフーバーダムにて、Daimler(ダイムラー)が開発する自動運転トラックにナンバープレートを取り付ける式典が大々的に行われました。この自動運転トラックは「Freightliner Inspiration Truck」と呼ばれており、世界で初めて公道を走行することを認可された商用の自動運転カーとなります。

Freightliner Inspiration Truck | Daimler > Brands & Products > Product Highlights > Freightliner Inspiration Truck
https://www.daimler.com/dccom/0-5-1809607-1-1809608-1-0-0-0-0-0-8-7163-0-0-0-0-0-0-0.html

Autonomous truck cleared to drive on US roads for the first time - tech - 08 May 2015 - New Scientist
http://www.newscientist.com/article/dn27485-autonomous-truck-cleared-to-drive-on-us-roads-for-the-first-time.html

これが「Freightliner Inspiration Truck」。自動運転を可能にするのは「Highway Pilot(ハイウェイ・パイロット)」と呼ばれるシステムです。

運転席はこんな感じ。

ナンバーを取得した自動運転トラックは高速道路で自動運転走行を行なうことになりますが、ドライバーは常時運転席に座ってシステムを監視する必要があり、必要に応じて運転操作も可能となっているので、トラックが誰も乗せずに街中を暴走……という心配は無用です。

運送業において、自動運転トラックは「燃料費の削減」や「ドライバーの休息」につながる画期的なテクノロジーと考えられています。過去数年にわたり、自動運転カーはさまざまなテストを繰り返してきましたが、そのほとんどが同じルートを繰り返し走行するものであったり、人や他の自動車がいない場所での安全な実験ばかりでした。

そんな中で開発されたのがダイムラーの「Freightliner Inspiration Truck」。ハイウェイ・パイロットにより、人間のドライバーよりも緩やかな加速・減速を行ったり、複数台の自動運転トラックを同時に走行させて空気抵抗を減らしたりできるため、高速道路の渋滞緩和から燃料削減による環境保全にも役立つシステムとなると見られています。「Freightliner Inspiration Truck」がどんなトラックかは以下のムービーを見るとよく分かります。

Freightliner Inspiration Truck - Platooning Technology - YouTube

これが「Freightliner Inspiration Truck」。

前後に「Freightliner Inspiration Truck」が並ぶと、車両同士で相互通信を行い……

適切な車間距離を保ちます。加速・減速のタイミングなども相互に通信することで、安全なドライビングが実現可能。

適切な車間距離を保つことで、トラックの受ける空気抵抗も最適化されます。

3台のトラックが連なれば平均5.3％、5台連なれば平均6.0％の燃料を削減可能。

恐るべき空気抵抗コントロールです……。

その他、ハイウェイ・パイロットでは走行レーンをはみ出さないように走行したり、前後の車両と衝突しないように速度を変更したりも自動で行えるようになっています。これは、トラックのダッシュボード部分に取り付けられるカメラとレーダーにより成り立っており、カメラは最大100メートル、レーダーは最大250メートル先のものまで認識可能とのことです。なお、名前の通りハイウェイ・パイロットは高速道路を走行するためのシステムなので、高速道路を降りれば運転手が自らトラックを運転する必要があります。さらに、車両の追い抜きや車線変更も運転手が自ら行う必要があり、ドライバーはいつでもハイウェイ・パイロットシステムをオフ状態にすることが可能です。

フーバーダムで行われたセレモニーの様子はこんな感じ。